『アウトレイジ ビヨンド』


「てめえナメてんのかコノヤロー!」


「ナメてねえよバカヤロー!」



こんな知的なやり取りが2時間ずっとつづく、まさにエレガントなひとときを満喫できる上流階級の映画体験。


それが我が最愛なる『アウトレイジ ビヨンド』である。


この映画はもちろん、北野武監督の世紀の大傑作『アウトレイジ』の続編。


死人は前作の2倍、緊張感は前作の10倍、出演者の顔の面白さは前作の200倍、飛び交う怒号は前作の1億倍という、何から何まで前作超えの極上のエンタテインメントだ。


まるでヤクザ同士の罵り合いから生み出されたグルーヴに身をゆだねる恍惚っていうのかな。


ああ、なんか気持ちええなあ〜


言っておくけど決してマゾなんじゃないよ。


ヤクザ映画やギャング映画の面白さって、いったい何か知ってる?


ヤクザ同士の抗争の恐怖とか、警察なんかも介入してのドンパチとかさ、そういうバイオレンス演出とかじゃないからね、誤解してる人多いかもしんないけど。


ヤクザという特殊な世界の様々なシキタリや儀式、組織におけるヒエラルキーなど、その世界観と様式美こそが魅力なのだよ。わかる?


ヤクザ同士のやり取りから見え隠れする、一筋縄ではいかない者同士の精神的葛藤みたいのが描かれている映画は見応えがあるよね。

つまり、コアなヤクザ映画ファンにとって、最も重要な要素は「任侠」という精神なんだよ。


ヤクザ映画なんて野蛮だなんて言う奴はもう黙れと言いたいね俺は。


もちろん『アウトレイジ ビヨンド』は、暴力的な映画だよ。


でもやっぱり、センスがいいよね。
セクシーな暴力表現が絶妙だと思う。


だからこそ、そこから生まれる暴力の緊張感が圧倒的なんだね。


エクスペンダブルズ以上にエクスペンダブルズなヤクザ同士の殺し合いは、一歩間違えば確実にコントなのに、北野映画独特の狂気パワーで神経衰弱ギリギリのスリルに昇華されているしー。