『君の名は。』

100億点満点


「恋に恋い焦がれ恋に泣く」というのはGLAYのヒット曲のフレーズだが、この映画に使われているのはRADWIMPSの楽曲である。

「君の前前前世から僕は 君を探しはじめたよ、君が全然全部なくなって散り散りになったって もう迷わない また1から探しはじめるさ」だと。がはは。たまんねー。なにこのロマンチックな歌詞。

これ、オープニングで流れます。とんでもなく美しい映像で、空から隕石が落ちてくる。「はっじまっるよー!」なんて叫びながら。もちろん始まるのは、今世紀最大級のドキドキとワクワク。完全無欠のラブファンタジー

「恋」ってのは隕石なんですよ。自分の世界に突然落っこちてきて、すべての常識を破壊する隕石。それが「恋」。
恋しちゃったらあんた、価値観ぜんぶ変わるからね。見える世界がことごとく変わる。これ、そんな映画。

大胆で繊細なストーリー展開。ファンタジックな内容でありながら、人間ひとりひとりの演出はしっかりリアル。そんへん、ずっとコミュニケーションについての作品を作ってきた新海誠監督の真骨頂です。
で、恋愛表現の絶妙さね。「恋のはじまり」は「夢」からはじまるというロマン溢れる演出が見事。よくあるじゃん。別に気にしてなかった女の子が、突然夢に出てきたら、その日から急に気になりだすこと。

主人公の男の子と女の子は、夢の中で入れ替わる。ぜんぜん知らない場所に生きている全然知らない相手なんだけど、夢の中だけで彼らは繋がる。誰かわからないけど、そりゃあ気になるよね。気になりまくる。いいなあ。最高だね。俺なんか夢に出てきた人をすぐ好きになっちゃう傾向あるからね。もうみんな好き。

彼と彼女が入れ替わるシーン、性格の違いや田舎と都会という環境の対比、それぞれの人間関係なんかがクロスオーバーする展開が超楽しい。ほんと、恋してるときのあの感じ。毎日がお祭り騒ぎみたいな充実感と全能感。

あのね、クライマックスは俺ずっと泣いてました。この2人の間には、ある重大な秘密がある。秘密というか大きな壁が立ちはだかるんだけど、そこを「恋」は超えてゆく。これはもうみんな経験あると思う。「恋」が自分の力以上の障害を乗り越える感覚っていうの。「恋」にはそんな強大なパワーがある。
で、そんな「恋」のパワーの恩恵を受けるには、自分自身も人生賭けてそこに挑まなければならない。逃げてちゃダメなんです。人を好きになるってそういうことなんだよなあ。

君の名は。』は、誰もが経験する「恋」の突破力を死ぬほどロマンチックに描いた作品です。マジで。いくつになっても「恋」は甘酸っぱくて切なくて素晴らしいよね。そんなものは年齢関係ないのだ。俺は40過ぎても、西野カナ井上苑子なんかを聴いて真顔でキュンキュンしているわけだが文句あるか!