『アウトレイジ』


アウトレイジ』は、どう考えても北野監督最高傑作。


ヤクザ同士がモメまくって、みんな揃って「てめえナメてんのかコノヤロー!」ってスゴんでいるだけの映画。


ノンキなヤクザキャラ連中の人間描写は絶妙だし、セリフは単純明快で余計な会話は一切ナシ。
暴力描写はセンス抜群というか、奇抜で残酷なアイデア満載でなおかつポップだ。


北野映画の真骨頂とも言える、ハリウッド並みにポップな暴力が思う存分堪能できるってのはうれしい。


それに北野映画のキャラクターって、基本的に純粋なんだよね。


本作だと、出てくるのはほとんどヤクザで、ってゆうかヤクザしか出てこないんだけど、みんな本気で殺し合いしてる。
もう卑怯もひったくれもない感じで、闇討ちとか暗殺とか騙し合いの連続。
正々堂々なんて意識が皆無な、まさに純粋な「悪」な人たちばっかりで感情移入が一切できない。


つまり俺たちよりもずっと純粋なんだよね。中途半端じゃないの。
「普段やさしいけどキレると怖い」なんて人がいない。
ずっと怖いしぶっとばし合ってる。


もちろんそんな奴は、ハタ迷惑極まりないんだけど、見ていてとってもスカっとするのも事実。
「社会」って怒りを表に出したら負けみたいなとこあるじゃん。
感情を抑えることが社会的行為であるみたいな。


でも、この映画に出てくる人たちは感情を一切抑えないから素敵。
腹立ったら怒鳴ってブン殴る(兄貴分にも平気で怒鳴りつけるビートたけしが泣ける)、怖かったら悲鳴あげて逃げ出す、不利になったら泣きごとを言う、邪魔者は暗殺する。


いいね。みんな純粋すぎるよ。
キレイ事いっさい無しでの殺し合いって、やっぱ本能的でとってもエレガント。
なんだろう。北野映画の暴力ってどう見ても美しいんだよね。


キタノブルー」ってあるじゃん。
青空と暴力のコントラストだよね、アレって。


いろんな意味で完璧すぎるなこの映画。
マジで必見すぎる。ぜったいオススメ。

オープニングがねぇ、もうね、すげーカッコイイから。
タイトルバックが洒落てるんだよ。
ヤクザの黒塗りの車がずわわわわって並んで走って、それを見下ろすカットで『OUTRAGE』ってタイトルが車とおんなじスピードでビュン!って出るの。
音楽もエキサイティングで、このオープニングだけで男だったら勃起しちゃうと思う。


あとギャグね。ギャグ。
ギャグサイコー!