『ヘイトフル・エイト』


 クエンティン・タランティーノ監督の8本目の監督作品であり、当然のようにこの作品が歴代ナンバーワン。最高傑作となっております。
そもそもなぜ俺がタランティーノ作品が大好きなのかというところから説明しなくてはなりません。理由はただひとつ。かゆいところに手が届くから。説明終わり。

つまりこの作品は、うんざりするほど乾燥肌で冬場なんか寝る前に全身かゆくて気が狂いそうになっている俺に、優しく保湿成分入りのボディクリームを塗ってくれるような映画と言えばわかりやすいのかわかりにくいのかすらよくわからない。

例によってストーリーなんかは説明する気になれないんですが、ひとことで言うと西部劇風ミステリーというかシチュエーションスリラーというか、要は「誰が生き残るか?」という話です。逆に言うと「誰が死ぬのか?」となりますが、こういった緊迫した状況の演出が天才的に巧いのがこの監督。
過去の作品においてもそうですが、タランティーノ映画の登場人物だちは死ぬ直前までほぼ100%バカ話をのたまっており、その会話がくだらなければくだらないほど、後に訪れる「死」が陰惨になるという究極のショック描写を多用しております。

今回の作品も、巨匠エンニオ・モリコーネさんの地獄みたいな楽曲をバックに、上映時間まさかの185分(3時間!)のうちの2時間くらいはムダ話。ラスト1時間でやっとこ物語が動き出すという冗談みたいな作風となっており、劇中のサミュエル・L・ジャクソンさんの雄叫びと共に、その間映画館の狭い席にて身じろぎせず鑑賞中の観客たちの膝やら腰やらも悲鳴をあげるという4DXもびっくりの臨場感。

何が言いたいのかというと、そんな長丁場もあっというまと思えるほど、この映画は天才的に面白いのです。ホント、信じられないくらいに面白い。予測を裏切る(というか予測をさせる気がまるでない後付け)展開が大胆すぎてたまにウンコが漏れそうになってしまうので、鑑賞前の大便もしくはオムツ着用は必須。

「かゆいところに手が届く」。まさに、俺が見たかったモノが想像を超える形でスクリーンに映し出される快感を体験できるという意味なわけで、こんなことができるのはタランティーノ監督くらいでしょうねマジで。間違いなく俺の人生のオールタイムベスト級作品となりました。必見です!

文句ナシの100億点満点!