『ブリッジ・オブ・スパイ』

でっぷりと太ったトム・ハンクスさんは魅力的です。マジで。前々からトム・ハンクスさん大好きだけど、ここに来て貫禄が出たというか、威厳があるというか、ただ単にオッサン化してメタボリックなだけなのかもしれないけど、とにかく二重アゴでトドみたいな風貌になったトム・ハンクスさん素敵。で、この『ブリッジ・オブ・スパイ』なる映画、監督がスティーブン・ズピルバーグさんだからもう間違いないです。面白すぎる。弁護士のハンクスさんが、敵国のスパイを弁護するんですが、当然政府は、形だけの弁護のつもりでいたのに、ハンクスさんが真面目すぎたのが運の尽き。本意気の弁護をカマすから政府も国民も戸惑うわ、イラつくわでいろいろと厄介なことになります。でも、ハンクスさんはそのトドみたいな風貌もさることながら、神経までもどっぷり図太くて、まったくひるまずに弁護やら交渉やらに一生懸命といった具合。とにかくハンクスさんの厄介な存在っぷりが痛快なんです。政府の偉い方々が、あまりにも頑固で真面目なハンクスさんにうんざりするのが最高に笑える。冷戦時代の緊張感のある環境なのに、このへんのユーモア溢れる演出が見事で、スピルバーグさん本当に巧いなと。
実話が基になっているようなんですが、こんなユニークなドタバタが水面下で行われていたと思うと滑稽だと思わずにいられない。なのに、東西ドイツを分断する壁が設置されていくシークエンスなんかはゾッとするほど恐ろしくて狂気に満ちています。
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のユーモアと『プライベート・ライアン』や『ミュンヘン』の生々しさが融合したようなスピルバーグの本気を垣間みることができる最高の一本。
必見なので、当然100点満点!