『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』

さすが、勢いのあるアニメなだけあってハイクオリティかつハイセンス。

ちゃんと引率のご両親も楽しめる内容になっているし、というか、俺なんかは子供を差し置いてラストで派手に号泣してしまったほどである。

帰り際に息子に「泣けるとこなんてあった?」とまで言われてしまったが、父親はハンカチでおめめを拭き拭き無言で劇場を後にした。

友情や親子愛に弱いのは年齢的なものなんだろうけど、それにしてもいい映画だった。

オープニングで「妖怪ウォッチ」が消滅してしまい、すべての妖怪の記憶を失くしてしまう主人公ケイタくん。

いきなりの危機的展開に、この先いったいどうなることだろうかとハラハラしていると、なんとたった5分でウィスパーとジバニャンを思い出して、いつものドタバタに戻ってしまうではないか。

妖怪ウォッチがあるから妖怪が見える」という設定を無視して、無しでも普通に見えているケイタくん。たぶんウィスパーとジバニャンは特別なんだろうけど。

凄まじいご都合主義に、目からウロコが落ちまくり。

なんて自由なんだ! 

劇場の子供たちも、上映中なのにわーわー騒いでいて、これまた自由。

ジバニャンがトラックにぶつかってブッ飛ぶシーンは、アニメでもお馴染みの天丼ギャグだが、スクリーンでも容赦なく登場し、見慣れているはずの子供たちもなぜか大いにウケているから凄い。

知っている妖怪が出てくれば、何人かは必ず「あ!○○だ!」などと名前を叫ぶし、飽きて泣き出している子どももいる。

そんなカオスな映画館なのに、雰囲気そのものが最高に楽しい。

ワイワイしている子供たちとそれを見守る大人たち、そして思いっきり自由で、凄まじい勢いに溢れた上映作品。


これが、、、これが社会現象にもなった『妖怪ウォッチ』のパワーなのかっ!!!


などと驚いているヒマもなく、過去へと遡った主人公たちの大冒険は、妖怪ウォッチの驚きの発明者のひみつへと繋がっていく。

妖怪を呼び出せないというモヤモヤした状況から、クライマックスの妖怪大集合への流れが絶妙で、カタルシス満点のラスト10分は、泣いていた子供も黙らせるほどエキサイティングだ。

妖怪なんかほとんど知らない俺ですら、すげえ!みんないる!俺のトモダチ!妖怪さんたち!頑張れ!などと応援している始末(心の中で)

子どものアニメとバカにするなかれ。
お約束のギャグや大人も楽しいマニアックなパロディネタ、可愛らしい妖怪キャラと熱い友情ストーリー。

全盛期の『ケロロ軍曹』を彷彿とさせる、すべて勢いで乗り切ってしまう圧倒的パワーに満ちた傑作だ。

当然のように100点満点。