『ザ・ゲスト』
身を守るために邪魔者を容赦なく始末する人間って本当に魅力的だなと思う。
少なくとも、常識人のフリをしていながら、影で愚痴ばっかり言っている奴よりはよっぽど健全だし、なにより野蛮であることは「生きることに真剣だ」という証拠でもある。
真剣に生きている奴は魅力的であるという法則に基づくならば、この作品に登場するゲストさんは動物的な純粋さと健全さに満ちた、まさに人類にとってのカリスマ。
まぎれもなく、このクソみたいな社会全体にとってのゲストそのものなのだ。
ゲストゆえに、この作品の登場人物たちは、誰もが例外なく彼をもてなす。
それはもう本能的な行為なんだから仕方がない。
ゲストが来たらもてなすのは自然の摂理なんだから。
とにかく演出がロマンチックすぎて、劇中の田舎者たちだけでなく、鑑賞者である俺たちまでゲストさんの魅力に参ってしまう。
途中からどっちが悪役なんだかわかんなくなるほど、ゲストさんに肩入れしている自分がいるのだ。
やっていることは恐ろしいが、よく考えると被害者は全員、生きていてもしょうがないような奴だったりするからマジで困る。
もういいや、ゲストさん、もう勝手にやっちゃってください!などとお手上げ状態で楽しめる時点で、これはもうスリラーでもなんでもないわけだが。
100点/100点満点中
80年代ホラーテイストなケレン味たっぷりのタイトルロゴを見てわかる通り、この作品に漂うレトロ感は芸術の域である。
特にサウンドトラックの素晴らしさには鳥肌モノ。
クライマックスの惨劇での、メランコリックなBGMとサイケデリックなヴィジュアルとのドギツイコラボは、鳥肌と共にチンチンまでボッキしてしまったほどの美しさだ。
一瞬、ブライアン・デ・パルマの映画かと思ったわマジで。