4カケラ/5  自分のゲロです、ウンコです

:『カケラ』はどうも気になってツッコミたくなる面白いシーンも多いのですが、例えばハルとリコのアイスの食べ方の違いも強烈で。特にリコちゃんの食べ方といったら



       
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:それが映里子ちゃんいいところ。誰がみてもあの食べ方は何を意図しているか分かると思いますが、映里子ちゃんはそういう事が分からない面白い子なんです。それを全く理解していないから何のイヤラしさも見えない
:男を知らないって設定ですからね
:そうです。まさしくリコちゃんがそうあるべきで、そういったピュアさが演じる本人にも必要だったんです。だからオーディションの時も一番大事にしたのはソコ。セクシュアルな事を何でも知っているような顔をした女の子は要らない。多少芝居が出来なくても滑舌が悪くても何でもいいから、スタート直前のヨーイの声がかかるギリギリまでセリフを言い続けろ!とかでね
:リコ役の中村映里子さんは本格的な、という意味では本作品が初めてと聞きましたが、演技力も確かでとても魅力的でした。次に早く他の作品でも観たいと思いましたよ
:他の作品・・・あの映画に出てます。奥田瑛二主演の『ロストクライム -閃光-』。しかも、かたせ梨乃さんも出演されていて映里子ちゃんととても関係のある役らしいです。キャスティングはたまたまで監督がオーディションして決めただけ。
安藤サクラ満島ひかり園子温奥田瑛二安藤モモ子中村映里子・・・とか安藤ファミリーで物凄い関わっているようでコレ本当に全部偶然です!みんな前世で深い繋がりがあったんたんだと思います、きっと
:え?オカルトですか。確かに一連の流れが不思議に思えます。それしても『カケラ』は主演女優2人の新たな魅力も引き出しましたし、なんといっても記念すべき初監督作品。力の限り全てを詰め込んだのですから、自分の子供も同然の大切な宝物ですよね
:自分のゲロです、ゲロ。ウンコです
:きましたよ、ウンコ発言
:本編でもキレイなゲロありました
:他に余計な物が一切混入してませんからね
:あのゲロのシーンで当たり前の事を当たり前に言ってしまう、ごく普通の青年も良かったですね
森岡龍君です、それっ!私は森岡君が大っ好きで、どうしても彼と一緒に仕事がしたくて
:どちらかというと森岡さんはいつもエロ男子とかダメ役が多くて今回は意外な新しい一面でした。御本人も監督としても作品が今年もまた入選していますし
:おっ、さすが映画ファン、詳しい
森岡君はいいですね〜、最近も映画で観ました。その短い出演シーンが凄いお気に入りで。か〜わ〜の底から〜こんにちは〜♪(満島ひかり主演『川の底からこんにちは』)
:絶妙なキャスティングで魅力的な登場人物ばかり。ハルだって基本ダサいのにどうも可愛く思えて仕方なかったです
:ハルちゃんは脚本だけ読むとやってる事も酷いし優柔不断で現代女子の嫌な部分を象徴した役どころだと思います。でもそんな共感しどころのないキャラにしなくなかったんですね。それを逆の性格のひかりちゃんが演じる事によって別のいい部分が出せればと思いました。小動物みたいにポケットにいれておきたいような可愛さ。皆それなりに頑張って生きているし間違った事もするけど、この物語では結果、誰も憎めない
:解釈は人それぞれだと思いますが、ハルとリコ2人の最後の表情をみて何か一歩先に進んだような前向きな気持ちになりました
:原作ではラストはハッピーエンド。でも女同士だからという理由ではなく、ハッキリ言って最終的にソレを私は受け入れられませんでした。そんな自分の経験からしても人生そんな簡単に上手くいくはずはないし、それぞれのアイデンティティを持った次へのステップで若い頃誰もが通る道。それを描きたくて最後、どうなったのかとかは白黒つけたくなかったですね。
でも一番カワイソウなのはやっぱり陶子さん(かたせ梨乃)。ハルは大学、リコは仕事、でも陶子さんに残っているものは・・・
:謎過ぎる陶子さんのただならぬフェロモンには終始クギ付けでした



       
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:エマニュエル婦人かっていう・・・ね(笑)。私は世間のかたせさんに対するイメージが最近定着しているような気がして。それで見た事もないようなかたせさんをと思い、あの役をやってもらいました
:陶子さんがリコに対してつけた強引過ぎるあだ名もたまらなくツボでしたよ
:あの年代の女性って一度思い込んだら、自分のくだらないようなギャグでもずっと面白いと思って言い続ける事ってあるじゃないですか(笑)
:実はここだけの話、私はかたせさんが大っ好きでプライベートでは時々 “梨乃ちゃん”などと勝手に呼んでいます。素敵ですよね
:あ〜ホント“梨乃ちゃん”って感じの可愛いらしい人ですよ、しかも熱いし。私も大好きです。
:リコはメディカルアーティストという余り聞き慣れない職業でしたが『カケラ』ではオッパイに対する並々ならぬ拘りを感じました
オッパイはいいものですオッパイオッパイです
:あの登場するオッパイシーンはやはりホンモノですか?
:それが本物ではないんです。あれ凄いでしょ!?今は温めたらピンクになったりと温泉に入ってもパッと見は分からないぐらい。
メディカルアートは実在する中村ブレイスという会社の社長がアメリカで学び日本で始めました。乳がんでオッパイを無くした女性の心の痛みを救ったり、子供の頃に指を切断してずっとポケットに手を入れて過ごしていた人が出して握手が出来るようになったり。たとえ人に見せる必要がないとしても、それがある事で気持ちが安定したりするんですね。元々は義手義足の会社で、今はまだ見た目には本物ではないと分かる機能的なそれらとは違いますがニーズはあるんです。
日本ではまだ保険も適用されない苦しい現実もありますが、儲からなくてもそれが世の中に必要だと考えて赤字覚悟でやっているビジネス。本当に素敵な仕事だと思います
:凄い特殊技術。なるほど、人に見せなければ済むという問題だけではないのですね。オッパイを無くした女性の苦しい気持ちは何となくでも理解しているつもりでしたが、こういった心のケアを担うメディカルアーティストという職業は今回初めて知りました。そして、それが世の中にとても必要な職業だという事も