3カケラ/5  役者にとって一番信用できない最低な監督

:ところでサクラには会った事ありますか?
:今年のゆうばりファンタスティック映画祭に『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』でいらしてました
:シュッ シュッ シュー♪(名曲「ワック♪ワック♪B−hack」より)
:私も好きです。そのラッパー2の歌
:あれ歌いたくなります。昨日の夜もストレスたまってサクラとオカンとでPV観ながら「シュッ!!シュッ!!シューッ!! !!」と連続で歌いまくりました。そういえば映画のサントラが出るらしいんですけど、サクラもそれで新譜のラップを覚えろと言われたらしく、ちょうど舞台のセリフも覚えないといけないのに「ラップは脳への影響が計り知れない」と死にそうになってました。サクラは特に語りみたいなラップのタイプなので
:そのサントラCDは是非とも手に入れて聞きたいですね
:ラッパー2はこのシアターキノでも上映が決まっていますよね。サクラさん舞台挨拶に来てくれたら嬉しいのに
:さっき劇場に入った時に『カケラ』本編前の予告がラッパー2でサクラが出まくってました。じゃサクラが来る時、私も一緒にくっついてココに来ようかな
:!?それは一体どういう事ですか
:え?・・・旅行で(笑)
: ・・・はぁ。それはそうと、サクラさんはこのローデッド界隈でも大変人気がある女優さんですよ
:『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』(サクラさん演じるカヨちゃんが素敵過ぎる映画)はこのまえ観ました。サクラは最高です!!!!!サクラは私のミューズ。ハルちゃんの役もサクラで当て書きしてます。一生涯サクラが私の役者第1号で全部当て書き。夢は安藤サクラ主演の映画を撮る事。次だってもうサクラでやりたい気持ちが。既に書いてるし・・・私の勝手な希望で予定をたてています。監督自身がその希望を口に出さないと誰も動いてくれないですし、新・有言実行タイプという事で
:サクラさんと言えば衝撃だったのはやはり満島ひかりさんとも共演した『愛のむきだし』ですね。私が最初に安藤サクラという役者をハッキリと認識した作品ですが、でもどうしても初めて見た気がしなくて、デジャヴかと思いました。そっくりですもの
:そういう人は結構多いみたいですよ。それでもずっと気付かない人もいて、サクラが現場でとある役者さんに「君さ〜奥田瑛二のカミさんにソックリだよな〜」って言われたって(笑)
:『愛のむきだし』と『カケラ』とではひかりさんは全然違いますよね
:他の出演作と公開の順は前後しますが、ひかりちゃんは『愛のむきだし』の後が『カケラ』だったんです。強い役しかやった事がなかったのでハルちゃんみたいな大人しい役をやるのは現場でも大変でした。全部出ちゃうんです、抑える事が出来ないので。今は大人しい役が続いているみたいですけど
:ハルを演じる満島さんは本当にそういう大人しい鬱な女の子に見えました




       
       (C)ゼロ・ピクチュアズ




:酷かったですもん私。私・・・酷い事やった。ひかりちゃんは『愛のむきだし』で園子温監督に初めてビンタ張られるような演出の仕方で色々な感情を掘り起されて噛み付いて動きまわって戦って、結果あのような芝居が出来て。
役者というのは自分の中の知らなかった感情を引き出してもらったりするのは快感な部分があると思うのですが、その次が私。その快感を知った後だったのでまた同じく“監督!私にぶつかってきてーっ!”みたいな愛情を受けられると思って来たんですよ。そこでひかりちゃんにとって何が苦痛かと考えた時に、無視が一番かなと
:愛してはいたけど放置したと
:それとは逆に映里子ちゃんには『愛のむきだし』の時のひかりちゃんが体験したような事を本人の目の前でやって見せたんです。全部にかまって「何やってんだよーっ!」とビンタ張ってパンチして(あくまで心の)。映里子ちゃんも追い詰められ過ぎてきたと思ったら今度は噛み付いてきて戦って。多分『愛のむきだし』の時のひかりちゃんと同じ感じだと思います。それを見て“やっぱり自分は放置されている”と感じたんでしょうね。
更には役者にとって最低な監督。私自身も信用出来ないような監督って何だろう?と閃いたのが“OKのかけ方を曖昧にする”。
役者の演技に納得していないのに、しょうがないけどOKにするって最低でしょ?ずっと残るモノなのに
:凄い事思いつきましたね。伝説の演出になりますよ
:心の中ではオッケーなのに。ひかりが「あの、もう1回やりたいんですけど・・・」と言ってきても「でもさ〜ほら、お金もないしそんな事出来ないからしょうがない・・・ま、OKという事で」って
:グッときますね
:それでショックを受けてどうでもよくなってしまったのか、死人みたいな表情でミジンコみたいに飛んでいってしまって。でもおそらく彼女もそれに途中で気付いたと思います。感性が鋭い子なので自分でもそこに追い詰めていったりして。それでも「殺してやりたいと思ってた」とこのまえ言われた(笑)。もちろん、今はスッゴク3人とも仲がいいですよ
:分かり合い過ぎた感じですか
:もう全てを乗り越えました!現場で、ひかりちゃんがこんな掴みかかるように詰め寄ってきて、その裏で映里子ちゃんが「うわ〜ん」と泣いていて。「ざけんじゃねーよ!」となってましたからね、ひかりは(笑)
:でも愛していたのに最低の監督を演じていたって事ですよね? 正直、俳優、安藤モモ子を見てみたい気持ちがあります
:了太の役とか演じてました。現場でも男らしく歩いていたみたい(笑)。俳優は面白いですけど恐ろしい仕事ですよね、見てると。私は現場では超ドSですけど、超ドMでもあるんです。そういうのって表裏一体ですから、監督も俳優も両方出来る素質は多分あるとは思います・・・わからないですけど
:それにしても感情むき出しの壮絶な現場。確かに満島さんに対しては何となく強いイメージがありました
:凄く強いです。ふふふ、面白かったのがこの前トークショーの舞台挨拶がありまして、平日レイトで大きいスクリーンだったせいか空席があったんです。最後に一言の時にひかりが「あの、なんで席空いてるんですか!こんなにいい映画なのに今日ここにいない知らない誰かは超バカです!」って。
で逆に映里子ちゃんは「あぁぁ本当に私あの・・・リコちゃんとかけ離れていてごめんなさい」って(笑)




       
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:アツイッ!!でもこの映画だけを観るとハルとリコの役がハマリ過ぎていて、実は真逆のキャスティングだという事に気付かない人も多いのではないでしょうか。改めて俳優って、映画って凄いですね
:そんなものですよ。女ってそういうところがあると思います。
役者って一生懸命頑張っているし、キレイという意味ではなく自分のいい部分を見せたいものだと思うのですが、別の取材でひかりが「カケラのハルは生きている中で満島ひかりの誰にも見せたくない部分しか出てない。最初は観るのが嫌だったけど考えてみたらこの先こんな事もないから良かったと思う・・・奇跡的に出た」と言ってました。
あ、そんな嫌な部分しか出てなかったんだって(笑)
:満島さんは特に、ハードなシーンが多かったですからね。役者とはいえ、人間だし女の子だし負担も大きかったと思います。いい事務所ですね
:あぁ腋毛のシーンとかもね。体毛を一切剃るなと言いました。ハルちゃんがヒゲを指摘されるシーンも私が昔「産毛生えてる」って言われた事があって・・・酷い男だと思いましたし傷つきました。だから未だに気にします。ひとつの針で刺されたような言葉。男と女の間だけではなく微妙なすれ違いで何気なくはいた一言だとか、それが決して悪いとは言いませんが誰かのトラウマになったりする事もありますよね
:なんと、それも実体験でしたか