5カケラ/5  結局自分が努力しない限り何も変わらない

:ひとつ言いたい事があるのですがいいですか?私は人生で正直な事しか言わないって決めているんです
:はい、先ほどからお話を聞いていてとても素直な方に見えますし、それが嬉しいです。そんな監督が好きですよ
:ありがとうございます。女性監督とか今とても素敵な方も沢山いらっしゃいますが、映画監督って気難しくて怖いし独自の世界観があってこうあるべきという雰囲気があります。ナメられたくないとかで取材を断るとかを耳にしますが、おそらく宣伝費がたくさんあるからそんな事が言えるのだと思うのです。
作品が絶対的に正直なもので、我々のゲロだしストリップしているようなものじゃないですか。
「んま〜っ!!観られてしまった〜」みたいな。
商業映画ではないしインディペンデントで自分でお金を集めたりしてここまでくるのも命がけ。人任せにする事ではないと思います。まず、奥田瑛二安藤和津の娘というのはネタで使えるし、コンプレックスとかそんな事言ってる場合じゃなくて、それが映画の宣伝になるのなら寧ろドンドン聞いて欲しいぐらい。私は宣伝も監督っぽくない事もしてます。
今回ファッション雑誌でモデルみたいにひかりちゃんと映里子ちゃんと3人で出させてもらったりもしましたが、今まで監督と役者が同じ並びで出る事は絶対になかったと思います。それで監督を身近に感じて欲しいし、映画を観ない人や大作映画しか知らない人にも一般紙などでミニシアター系の作品を知ってもらって興味を持って劇場に足を運んで貰えたら嬉しいと思ってます
:それってまさしく私たちローデッド魂と同じですよ!映画を観ない若者や映画に興味のない人にもという
:ですよね!例えば(再び本誌ローデッドを手にとって)表紙を見てあれ、マイケルだ何だろう?と手にとって読んで知らない事がいっぱい書いてあるとなったらそれでいいじゃないですか
:内容が時々下品ですいません。気付けば誰も作品について触れていなかった事もありますが、とにかく映画を楽しんでいこうよ!というスタンスです
:丁度いいじゃないですか、ウンコ。堅苦しいのは面倒ですよね。別に構えて映画を観なくてもいいですし、皆が駄作と決め付けている映画でも心開いてみれば・・・といってどんなに心をオープンにして良いところを探しても、映画でも人でも「ウ〜ン」って時もありますけど(笑)
:基本的には褒めますね。何も観ても「傑作!」しか連発してない時もあって
:何かしら光る良いところがあります
:あぁいいですね、そういう見方!だって努力してますもの。映画作りの大変さといったらもうもう・・・何事も精進して謙虚であり続ける事が大事だと思います。だから初心を毎日思い出す為に出来るだけ、一日一神社。
別に無宗教ですが、神社というのはシンボリズムではなくて祈る相手が鏡とか自然。悪い念がこもってなくて周りのその自然に癒されたり、助けて下さいというネガティブな思いをぶつけても自分に跳ね返ってきます。結局、自分が努力しない限り何も変わらないんですよ。勿論、他の様々な宗教もそれで救われる人がいるのだからとても大事だと思います
:私も無宗教ですが、神道は大好きですね
:I LOVE SHINTO!
:よっし、私も靖国公式参拝しに行きますよ(水野晴郎閣下の御霊に会いに)。ところで気付いてましたか?今日は『カケラ』のハルにかけて、私のミューズ?であるハルちゃん(水野閣下の顔プリント付きシベ超Tシャツ)をせっかくなので着てきました
:最初から気付いてました。お顔だけがジッとこちらを見ている感じで
:『シベリア超特急』は観た事ありますか?水野晴郎初監督作品でなんと、かたせ梨乃さんも出演されていますよ
:いえ、観た事はないです
:あぁ良かった、特に観なくてもいいですよ。かたせさんも忘れたい過去かもしれませんし。どうして同じ初監督作品なのにこうも違うのかと思います。ある意味奇跡の作品ですけど、この前久しぶりに観てファンなのにウッカリ寝てしまいました
:初監督だから怖いものなしってところもありますよ、なんかそういわれると段々観たくなってきました
:もうそろそろ水野先生を呼び戻すという噂があります。イタコを使って
:それは絶対降りてきてくれると思いますよ。それなら是非、木村威夫さんも呼んで欲しいです
:奇遇ですね!木村威夫先生はシベ超美術監督をやってくれました。木村さん怒ってないかな〜
:お二人を呼んで「死んだからこそ言い合える仲」というタイトルで対談して貰うというのはどうですか
:更には愛おしくて仕方ない小森のおばちゃま
:昔よくお見かけしてました〜とても好きで。実は志茂田さんをキャスティングしたのもそういった私の好きなタイプの流れです。
あと楳図かずおさんも大っ好き!しましまのお家とかドコソコに行ったら会えるよとか皆に言われますが、余りに好き過ぎてそんな見かけるとかは失礼過ぎて申し訳ない。いつかちゃんと会いたいので、そういう立場になれるよう頑張ります
:なんとなく分かります、その好きな人のライン
:楳図先生との対談もひとつの夢ですね。しかし憧れの人に実際会ってみると私なんか水野先生は考えが突出し過ぎていて時々意味不明で大変でした。先ほどから登場しているビッグネームの方々もそうですが、昔の人はいい意味で発想もそうですし破天荒
:頭がいいからこそ、あのフレーム内で正しいと思う事を色々と表現されていたのではないでしょうか。楳図先生に会ったらそうですね、グワシ出来ますって自慢したいかも。昔の人も凄いですが、生きながらにして未だ自由にそれを通用させている人間を一人知ってます。奥田瑛二。今度会ってみて下さい(笑)。
:奥田さん・・・(いやいや無理)。なんだか段々話がそれてきましたね、強引にでも乗っていただいて有難うございます。それはそうと、上の世代のカリスマ度も凄いですが、今の新しい世代の映画監督のセンスも悔しいと思わせるぐらいに面白いし色々と刺激を受けますね。『カケラ』でもリコちゃんが自転車をカッコよく逆さまに駐輪するじゃないですか。あれマネしようと思いました
:あれには理由があります。乗っている人は殆どいませんが、BMXは競技でも使用されていて車輪が小さくペダルをこいでも余り前に進まないんです。回転率がスゴい男の子ばっかりが乗っているような自転車で一生懸命こいでいる姿や、リコちゃんのあの服装なのに男らしく駐輪するという一連のムーブメントに意味があります
:え?もう種類が違うんですね、通りで脳内プレイしても出来ないと思ったら。てっきり都会じゃみんなやってるものだと思ってました
:全然いないです。見た事ない、そんな自転車逆さまにしてる人
:そんなオシャレ話に沸いたところですが、なんと舞台挨拶の時間が迫ってきております。それにしても、いや〜映画ってホントに素晴らしいものですね
:映画っていいものですね
:それ、どうしても最後に言いたかっただけじゃないですか
:あはははは