『バッド・ルーテナント』

劇場公開時に観たくて死にそうになった一本。

ようやく何事もなく鑑賞を終えることができた。
この良き日を慈悲深くも与えて下さった神の御心に感謝したい。

そして、ニコケイにはもっと感謝。
感謝せずには入られない。

ニコケイがやらかしました。

かつてこれほどまでに輝きを発しているニコケイを僕は見たことがない。

ニコケイを愛する人間として、ここまでチャーミングかつパワフルなニコケイの姿を目にすることができて、とてつもなく嬉しく思う。
本当に喜ばしいことこの上ない。

本作『バッド・ルーテナント』におけるニコケイは水を得た魚のようだ。

ニコケイが演じるのは、ニューオーリンズの悪徳警部補。

これ以上ないとゆーほどの究極の最低人間を、ニコケイ渾身の最低(つまり最高)パフォーマンスでとことん魅せる!

神が与えたもうたとびっきりのマヌケ面を威風堂々とさらしながら、一体何をするかとゆーと、全編を通してヤクでラリってるだけとゆーね。

泣けますよ。

ムダにバカデカいマグナムを腰にブッ刺して、街中をヨタヨタとウロウロ徘徊するニコケイ。

そんなニコケイが殺人事件の捜査を指揮するんだけど、残念なことにヤクでハイになること以外にはあんまり興味がないから、ヒマさえあれば、そこら辺の一般人を手当たり次第に捕まえてヤクをふんだくる。

警官仲間に頼んで証拠保管室からヤクを盗ませたり、ヤクを手に入れるためなら手段を選ばない。

「とりあえずハイになりたい」

その精神的欲求から生まれる圧倒的な行動力が素晴らしい。

警察権力をフルに駆使し(つーか濫用して)、ヤクをゲットしまくるニコケイ。

しかも、ハイになりすぎて仕事中に幻覚見たり、ヤクをゲットしたついでに娼婦をレイプしてみたりもする。

誰彼構わず脅しまくるせいで命狙われたりもするし、おまけにギャンブル中毒で借金まみれだったりして、とにかく泣けて仕方がない。

本当にステキなニコケイだ。

一番ステキだったのは、介護施設での尋問シーンね。

病弱な老人の酸素チューブを抜いて窒息させかけて、「死ねばよかったのに!」って罵倒した挙句、「オマエらがこの国を腐らせるんだ!」って捨て台詞吐いて出て行くトコ。

もーね、これこそ最低人間の最低行為の極み。
これまで見た映画の中で、最も最低なパフォーマンスに違いない。

そんな最低表現がニコケイによって演じられたってのは、これは運命としか思えない。

本作のニコケイは、「最低」を全身全霊で演じ切っていて、本当にそーゆー人間に見えてしまう。
絶対ニコケイ本人としか思えない。
そう。
もはや演技とは到底思えないほどリアル。

ニコケイは本作の中で、人類が想像しうるあらゆる人でなし行為の限りを散々尽くす。
本当に見事。

その容赦ない最低っぷりは、ニコケイにしか出せないリアリティであり、ニコケイが誇るマヌケ極まりないビジュアルと佇まいがかつてないほどに、キャラクターに対して理に適い、要領を得ているのだ。

スネーク・アイズ』でも相当だったけど、『バッド・ルーテナント』では神に祝福されているとしか考えられない。
それぐらい最低。

ニコケイはマジで最低だ。

それはつまり最高ってことなんだ。
つまり「最低」を、演出する側や鑑賞者が求めている以上の最高のクオリティで表現できるって意味。
ここでのクオリティとは、結局のところ、ニコケイの超絶的マヌケさに因ることは言うまでもない。

ニコケイは、「マヌケ」の神様でありカリスマ。

「マヌケ」を、映画とゆー世界において、もはやステータスと呼べるほどの芸術的価値に昇華させた。

ニコケイを上回る「マヌケ」アーティストを僕は知らない。

ニコケイが自身のキャリアの中で開発していった唯一無二の「マヌケ」表現。
「マヌケ」の専売特許。
「マヌケ」こそが彼の人間的魅力であり、役者としてのリーサル・ウェポンなのだ。

ニコケイが宿していた「マヌケ」の潜在能力に僕は打ちのめされた。

その力とは、すなわちニコケイ力だ。

その意味で、本作のニコケイはパーフェクト。
ニコケイ力が最大限に発揮されている。

ゴーストライダー』『ノウイング』とゆー重要な作品を経て、「マヌケ」が来るべきところまで来た。

そこに向けられる僕の思いってのは計り知れない。
この動揺を隠し切れない。
ニコケイが死ぬほど好きであることを改めて思い知らされたのだ。

だから、ニコケイファンは絶対必見。
感動&興奮必至。

ニコケイの、ニコケイによる、熱狂的ニコケイファンのための混じりっけなしのニコケイ映画。

ニコケイは、何を持ってニコケイなのか。
ニコケイは、何ゆえにニコケイであるのか。
ニコケイ的ニコケイとは一体何なのか。

これまで全人類が悩み、探求してきた普遍的テーマ。(そんなわけねー)

その人類永遠のテーマとされてきた重要な課題に、ここにこうして答えが表された。

そして、その答えは、まぎれもなく正解だった。

これぞ僕らが長い間求めていたニコケイなんだ。

ニコケイ本人でさえ知らなかったモノホンのニコケイ。

ニコケイが険しい道のりを通って、やっとこさ辿り着いた一つの到達点。

ニコケイ新時代到来の幕開けだ。

ありがとう!ニコケイ!
そして、おめでとう!

こんな感じで、意味不明な戯言を本気でノタまわってしまうほど『バッド・ルーテナント』は素晴らしい。

つーか、こんなショーもない記事書いてるヒマあったら、昼寝すれば良かった。
ねむてー。