『インセプション』

それが夢なのか現実なのかわからなくて、気づいたら、ハッと目が覚めて、「あ、夢だったんだ」って現実に戻される。

それが夢なんでしょうね。

夢って観ている間は現実にしか思えないから、夢から覚めないと、現実だと信じ込んだまま。

そう考えると、「今も実は夢見ていたりして。。」なんてね。
そうだといいなー。

こんな悪夢はさっさと終わらせて、ハッピーな現実に戻りてー。
絶対裕福で、友達がたくさんいて、イケメンで、美人でデカパイのカミサンと結婚してて、可愛い子供が3人ぐらいいて、遊園地付きの豪邸に住んでるはず。

あー、もー、心からそう願うよ。
うん。

そうさ!
僕みたいなナイスガイな勝ち組が、毎日牛のウンコ落としたり、牛ウンコでまみれた藁を取り替えたりする仕事をしてるわけないじゃんか!
頼むから、夢から覚めてくれ!
頼む!

つーことで、精神も無事に病んできたところで、本題である『インセプション』のハナシ。

僕以上に精神不安定極まりない役を演じさせたらピカ一との評判が高いあの人が主役。

そう。
みんな大好きデカプーね。

アビエイター』以来なにかと心を病み続けて、遂に来るとこまで来た感じ。

今回の病みっぷりも迫力満点。
相変わらず効果覿面の精神病エフェクトで、作品を派手に盛り上げてくれる。

そんな我等がデカプーをこのたび演出するのは、『ダークナイト』の天才映像作家クリストファー・ノーランさん。

しかも、ノーランさんによるオリジナル脚本とゆーことで、かなりの野心作に仕上がっている。

本作『インセプション』は、他人の夢の中に侵入してアイデアを盗むとゆー企業スパイが、創り上げた夢を植えつける(インセプション)ミッションに挑むSFアクション・スリラー。

デカプー率いるその道のプロフェッショナルたちが終結し、チーム結成。

夢をデザインする人や、調合する人など、よくわかんないけど、たぶん超能力者の集団。

コイツラが目標である人間の夢の中に無断で入り込んで、やりたい放題やると。

夢の中に入るってゆー発想自体がスゴイよね。
つーか、意味不明じゃん。

当然ストーリーも正直ワカんなかった部分ばかりなんだけど、そんな状態なのに全編でひたすら興奮してた気がする。

そもそも意味とか考えてるヒマないんだよね。
スクリーンで起きてることがあまりにもオモシロすぎて。

いやー、オモシロかったよ。

なんでも「夢」っつーのは、自分の潜在意識とか意識していない部分の投影みたいな不思議な現象らしくって、そんな精神世界的な深いハナシで興味を引きつつ、サスペンスとアクション満載で、見応えある娯楽作として完成させている。

ノーランさんってインテリなんだろうなーって思った。

ノーランさんならではの重厚かつ難解な構成によるストーリー性が素晴らしい本作。

メメント』『プレステージ』といった面倒くさい内容の過去作品でも、相当な天才的手腕を発揮して、ストーリーを巧く構築し、作品を完璧に作り上げていた彼ですからね。

もーね、そのテクニックは神の領域ですよ。

インセプション』では、そのテクニックも遂に神をも超越しちゃったんじゃないの的な領域にまで突入。

そこはさ、やっぱデカプーなしには語れないよね。

デカプーを主役にキャスティングした時点で、ノーランさんの勝利は決まったようなもんです。

デカプー十八番の精神疾患パフォーマンスが見事に炸裂。

ただでさえ精神病で、ここぞとばかりに精神不安定に陥ってばかりいるため、鑑賞者は夢と現実の境がワケわかんなくなってくるんだよね。

そこがナイスな映画。
デカプーによる向かうところ敵なしの精神病効果で、夢も現実もサッパリ区別できない。

そんなわけで、チームのリーダーでありながら、信用のおけなさ具合は圧倒的。
デカプーのせいでメンバーが死にかけたりね。
肝心な時に派手に失敗してミッションを危うくさせたりして、もーね散々ですよ。

ヒマさえあればプライベートな夢ばかり見てるからですよ。
デカプー、自分の世界に入りすぎ。

つーか、チームがみんなして夢見すぎなんだよね。
ことあるごとに夢ばかり見てる。
つまり、『インセプション』ってキャラクターが物理的にほとんど何もしてない状態でのハナシってことだよね。

ただ寝てるだけ。
スゲーよね。

特に後半はスゴすぎました。

夢の中で夢を見て、その夢の中でまた夢を見るとゆー夢の3重構造でのストーリー展開が始まって、こっちの身が持たなくなりそうなほどバリバリ興奮だった。

夢の世界におけるビジュアル表現がいちいちブットンでいて斬新だし、ド迫力の銃撃戦やカーチェイスなども奮発し、アクション演出も冴えすぎ。

特に後半の、廊下で大のオトナがゴロゴロと転がりまわる無重力バトルとかサイコー。
どう考えてもバカみたいなのに、めちゃくちゃにエキサイティングに演出されていて、異常にオモシロすぎた。

一回鑑賞しただけなので良く分からない部分が多々あったんだけど、もう一回か二回は観たいね。

作った張本人であるノーランさんも、鑑賞者に一度以上の鑑賞を求めているに違いない。

前半は小難しいセリフの応酬が凄まじいし、全編を通して意味ありげなシーンが結構あるので、相当奥深く楽しめる作り。

ラストの独楽回しの「どっちなの?」って終わり方がクール。
あーゆー終わり方ってスゲー好きだなぁ。

あと、デカプーや渡辺謙だけじゃなく、今ノリノリの若手俳優を積極的にバンバン抜擢して大活躍させてるノーランさんの器の大きさもクール。

設定もストーリーもアクションも映像も役者のパフォーマンスも、とにかくクールな一本。

ノーランさん、クールすぎだぜ。

いやー、マジでオモシロかったですね。
インセプション

現実に悩むソコの君!
悩むヒマあったら、とっとと観に行くこと!

くれぐれもいい夢見ろよ!