『REC2』

閉鎖された古アパートで悲惨な目に合うドキュメンタリー撮影チームという設定で、昨年もっともおっかなかったで賞の栄光に輝いたスペインの地獄ホラー『REC』。


待望の続編は、前作の惨劇の数分後、武装して現場に乗り込んだSWATの記録映像として登場。
舞台や状況はもちろん、テンションまでも前作クライマックス直後のまま。
つまり、フルスロットル状態での【地獄映像】が、しょっぱなから展開するのだ。



登場人物の持つカメラによる「主観映像」という、前作とまったく同じ設定でありながら、今回はSWATのみなさんが個別に装備したCCDカメラ映像がメインなので、人数分のアングルで各視点から地獄を堪能できるという天才的アイデアが光る。
まるで主観シューティングゲームのように、振り向いたら何の前触れもなく目の前にゾンビがッ!なんて驚愕のシーンや、鏡を利用したゾッとするシークエンスまで飛び出す、まさに小型カメラの視野の狭さを活かした最高レベルの恐怖が展開されるのだ。


ショックシーンのほか、衝撃の事実やスリリングなサバイバル劇とかを織り交ぜつつ、あくまで「忌まわしい記録映像」というスタンスをくずさない徹底的なまでの主観主義には頭が下がるね。
カオス時のブレブレ映像やバッテリー切れなどのカメラトラブルも、泣けるほど絶妙なタイミングでうまく演出しているところが、本当に憎いぜコンチクショウ。


そして物語なんだけど、今回は前作のような「不明瞭な恐怖」ではなく、続編らしく謎がどんどん解き明かされるわけだが、なんとこの事件は知れば知るほどヤバイ事件なんだよね。
クライマックスには、なにもかもがハッキリするんだけど、全貌が見えてるのに絶望感はつのるばかり。


登場キャラもすげーメンツ揃いだ。
SWATのみなさんやウッカリ巻き込まれるバカに加え、重要な登場人物の「神父」の存在が、これまた作品そのものの忌まわしさをさらにアップする地獄ファクターになっていたり、もちろん前作で登場したアノ人も登場。
もう、直視できないほどおっそろしいのに、目が離せないほど面白い。


監督は前作同様、エルム街最後のチルドレン代表のジャウマ・バラゲロ氏(通称ゲロっち)。
お得意の暗黒映像や別キャラとのザッピング展開、オカルトを超えて別次元までいっちゃったような「スーパーオカルト」の真髄を見せてくれるほか、毎度おなじみの子ども虐待シーンも健在。


恐怖度100倍でドラマチック度もオカルト度も100倍、そしてテンションは1億倍という、完全無欠の地獄ムービーとなっているのだ。

観ないと死ぬでしょう、これは間違いなく。