『仏陀再誕』

いやー、大変な映画ですよ、『仏陀再誕』。
宗教団体である幸福の科学が製作したスーパーアニメ映画がこの『仏陀再誕』。

始めに断っておくと、僕は別に幸福の科学の信者ではない。だけど特にアンチでもない。
無宗教の僕は、どの宗教も信じてはおらず、どの宗教も敵視してない。なのでニュートラルな立場からこの作品を見た。


この作品に関連して幸福の科学大川隆法氏の著書『仏陀再誕』と、『勇気の法』を読んだんだけど、大川氏は仏陀の生まれ変わりなんだそうな。初めて幸福の科学が仏教系の宗教だということを知りましたよ。

で、この原作のほうの『仏陀再誕』は、仏法真理などに触れた内容で、仏陀が語りかけるという形で書かれているので若干難しい。仏法の用語や語り口が満載なのでちょっととっつきにくい。

でも映画の『仏陀再誕』は普通のアニメ映画として普通に楽しめる。内容はもう宗教戦争なんだけど、悪役はサイキック教祖(某宗教団体の代表がモデルだともっぱらのウワサだが、それも含めニュートラルな目で見ようね)で、正義の側は再誕した仏陀である空野太陽という男。たぶん幸福の科学の教義に基づけば、この人が大川隆法その人であるということなんでしょう。

豪華な声優陣と、海外CG班によるアニメーションスペクタクル。宗教団体が作ったという要素が影響しすぎて、ネットなどではかなり偏った評価になっている感じがするけれど、そういうのを除けば普通に楽しめる作品だと思う。

ただ、2時間という上映時間の中に、エピソードを詰め込みすぎた感はある。要するにシーンが多すぎるわけ。一つぐらい削って、ドラマをもう少ししっかりやればもっと良い作品になったような気がして少々残念ではある。


終盤、なぜか天使が出てくるのだが、この天使は何かの間違いかと思うような変なCG。なぜここだけそういう風になっちゃったのかかなり疑問。天使と前後して登場する命の樹みたいな映像は逆にかなり美しく、素晴らしい出来栄えなんですよ。なのになぜ天使がこうなっちゃったのか、と。いろいろわかりませぬ。


そしてラストシーンからエンディング。もうね、テーマ曲が神がかってますよ。いや、神じゃなくて仏か。『悟りにチャレンジ』というスチャラカなタイトルの曲なんだけど、もう非常に名曲。素直に素晴らしい楽曲なんですよ。しかし大川隆法氏による歌詞が、どう考えても歌詞になりえないような散文的なものなので、その点でけっこうガッカリな仕上がりになっちゃってる。大川さんが作詞家にこの歌詞を渡して、歌としてまとめてもらったらよかったんじゃなかろうか、と思うわけ。

歌詞の内容はまさに仏陀再誕にまつわるもの。この映画と原作の本のテーマがそのまま歌になってるわけですよ。だからこそ、散文的なこれを詞としてまとめてあれば、もっとメッセージ性の高い、かつ伝わりやすいものになったんじゃないか。

とにかく一聴の価値アリの曲です。


新興宗教拒否症の人はムリだろうけど、コダワリなくニュートラルな気持ちで見られる人にはオススメできます。冷やかしで見に行くのはやめてほしい(ちゃんと信じている信者さんが見に来る映画なので)けれど、信じてないけどバカにもしない、という人は見てほしいですね。


え?エンドロールに僕の名前があった?
あったかもしれませんねぇ。