『スターシップ・トゥルーパーズ3』

 「今日は最高の死に日和!イェイ!」


ヒドいセリフとヒドいヴィジュアル、そしてヒドすぎる脚本にも関わらず、クライマックスに近づくにつれて、ヒドすぎて逆に感動してしまう傑作。
それが『スターシップ・トゥルーパーズ3』だ。


前半は、観るべきところなど何もないと思えるほどの、ハリボテセットでの軍事コントが展開される。
ハリボテ基地にハリボテバグ、演じてる俳優さえもハリボテ演技だ。
なにもそこまでハリボテを強調しなくても…と、思わず切なくなってしまうほど。


そして、なんやかんやと安いシークエンスがコジンマリと重ねられ、これ以上安くしてどうすんだと言わんばかりの安易さでクライマックスへと突き進む。
安いシーンを派手に繋げる1作目のバーホーベン監督、安いながらも安く見せない努力をした2作目のフィル・ティペット監督、そして安いシーンをより安く撮った本作のエド・ニューマイヤー監督。 
まさに『スターシップ・トゥルーパーズ』は、世界イチ安いSFシリーズへの道を歩んでいこうとしているのだ!


しかし後半のブットビ展開には大いに感心させられた。
その安さもさることながら、発想の素晴らしさに目からウロコが落ちそうだった。
意味もなく女性が全裸になるという凄いシーンが出てきたかと思えば、砂漠を彷徨った兵士たちがたった3匹のバグに襲われ大パニックになり、バグ教に改心した人間がボスバグに忠誠を誓う。
もう、どーしよもないほどの脱力感に満ちたヒドい展開なのだ。


しかも全裸女性が出てきた時点で、俺のテンションは上がりまくっていて、すでに「傑作」というゆるぎない評価をくだしてしまっていた。
もうこの先どんなにヒドイ結果が待ち構えていようと、『スターシップ・トゥルーパーズ3』は傑作なのだ。


そして、ラストは本当に予想以上にクダラナイオチがつけられた。
今までの無駄なシーンは、すべてラストのギャグのためのフリだったのではと思うほどの悪ノリっぷり。


そればかりか、バーホーベンの1作目からのシリーズ通しての思想がちゃんと受け継がれているところが素晴らしい。
そう。それはもちろん「青春」だ。
これこそが『スターシップ』シリーズの真骨頂なのだ。
青春が無ければスターシップじゃない!


つまり『スターシップ』は、どんなに安くても、学芸会ノリでも、そこに青春さえあればオッケーなんだ!
青春こそがスターシップをスターシップたらしめているんだ!
最高だぜ!スターシップ!


「死に日和」なんてポエティックなセリフが容赦なく出てくるスターシップ。
あまりにも青春だ。