『パラノーマル・アクティビティ4』



観る人が観れば死ぬほど怖い映画。
それがこの『パラノーマル・アクティビティ』シリーズだ。


1作目は、「寝室をビデオ録画するカップル」って設定以外はストーリーもドラマも何もない超低予算映画だった。


派手なシーンなどひとつもなく、単に設置した固定カメラのビデオ映像の編集版が流れてるだけ。


カップルがぐっすり寝ている部屋で、妙な物音がしたり、ドアが勝手に開いたりするという、地味すぎる映像が淡々と映し出される。

そして、そんな些細な超常現象がじょじょにエスカレートしていく。


謎の物音や不気味な気配が、じわじわと家全体に広がっていくような緊張感。


もちろん幽霊の姿なんて出てこない。


しかし、なにも見えないからこそのリアリティーと、その存在を精神的に感じて恐怖する主要キャラクターの描写は、観客にも十分忌まわしさが伝わる。


幽霊なのか?それとも別の何かなのか?
原因が分からないまま、衝撃のラストへと向かう記録映像。


まさに映画史に残る圧倒的な不条理である。


このシリーズは一貫して、その記録映像というスタンスは崩さない。


ある一家に起きた理由のわからない異常な現象を、そのまんま何のヒネリもなしに映像にしているだけ。


ストーリーが語られるのではなく、超常現象の映った監視カメラ動画と主要キャラの手持ちカメラ映像をもとに、観客の脳内で物語がボンヤリと組み立てられるという作りそのものが革新的だ。


何かが起きていることはわかるが、それが何を意味するのか?また何が原因なのか?は観客の想像力に委ねられる。



つまりこの作品は、観客の想像力によって怖さが0にも100にもなるのだ。

1作目の公開当時に「何が言いたいのかわからない」「ぜんぜん怖くない」といった感想が多かったのは、まさにそういった自主的な脳内補完ができない人たちの意見だった。


映画では単なる現象を見せられるだけなので、観客はそこに自分なりの理由づけや結論を導き出さなければいけない。


これができる人とできない人で意見は分かれ、そしてこの作品は「できない人」を思いっきり無視してシリーズ継続された。


さて、最新作であるこのパート4は、1〜3で起きた事件の後日譚である。


前作の『パラノーマル・アクティビティ3』は、1作目から発生していた一連の超常現象の発端が、この作品で一気に日の目を見るという斬新な解決編だった。


つまりこのパート3で、事件は全貌がある程度見えたと言ってもいい。


よって、パート3にあった「手のつけられないヤバさ」みたいなものは、それほど感じられなかった。


だからこそ、今回は恐怖表現のアイデアの豊富さが際立った。


「怖さ」のみを追求した作風が、あまりにも天才すぎるのがこのシリーズの魅力である。


とんでもなくセンスのいい超常現象シーンがたんまり出てくる。


『3』で首振りカメラを使った凄いシーンがあったが、それに匹敵する最高のアイデアだ。


この映画製作者の向上心は本当に凄い。

ジャパニーズホラーでも考えつかなかった斬新な恐怖表現を惜しげもなくどんどん入れてくる。


もはや『貞子』や『呪怨』をダラダラやってる場合じゃないよ日本は。


ハリウッドがジャパニーズホラーの技術を発展させるとこんなに凄い。

とにかく今、最も信頼できるホラーシリーズとして絶対必見だ。