『スピード・レーサー』

 『スピード・レーサー』とは、主人公の名前だ。
レーサーさんちのスピード君。


素晴らしい名前だ。もうこのタイトルつけた時点で、この作品は勝ったも同然!
こんなオモシレー名前の主人公が、そのまんまスゴ腕の走り屋で、つーかもう走ることしか脳が無い「クルマバカ」なわけだ。


そんなバカ連中が、やたらめったらと派手に走りまくるこの映画、設定が派手にバカならヴィジュアルもキチガイみたいにド派手。

もうほとんど特殊効果というよりは、ただのCGアニメなんだ!
なぜならこの作品は、監督兼オタクのウォシャウスキー兄弟が、ただ単に『マッハGO GO GO』を実写で作りたかっただけだからだ!


普通、アニメを実写化するのであれば、それなりにアレンジもしそうなものだが、このオタク監督はストレートにそのまんま作ってしまった。
頭がオカシイとしか思えないほどアニメそのまんま。


とか言いつつ俺は原作なんて知らないんだけど、原作を知らないからこそ、この作品は原作そのまんまなんだと信じたいんだよ俺は!
なぜならあまりにも展開がムチャクチャだからだ!
このムチャクチャさは、まさに子供向けアニメの一方的な展開そのものなんだ!
逆に、アニメじゃなかったら、こんなワケのワカンナイ話、大人の鑑賞に耐えられるかってんだ!


しかもこの作品に、お色気要素が1ミリも無いところがまた凄いんだコレが。
誰も指摘してなかったが、実は『マトリックス』シリーズも、気の利いたお色気が皆無だった。
ヒロインのキャリー・アン・モスや下品なモニカ・ベルッチでムリヤリお茶を濁していたが、オナニーマイスターである俺にとっては、そのテキトー極まりないエロ要素(卑猥さゼロ)がウザくてしょうがなかった。

スピード・レーサー』でお色気要素を担っているは、クリスティーナ・リッチスーザン・サランドン
二大変態美女を起用しておきながらの、まさかのお色気封印には驚嘆せずにはいられない。
まさに、この監督は正真正銘のホモ野郎だ。


肝心の映画の内容だが、ハッキリ言ってよくわからなかった。
ただこの作品に限っては、あまりストーリーとかそういうのはどーでもいいのかなって思う。
なぜなら俺は、中盤30分ほど寝てしまって、当然のように後半は意味不明だったからだ。
にも関わらず、ラストは感動のあまり感極まって泣いてしまった。
ちゃんと観てないくせにラストで泣いて、なおかつレビューまで書くなんて、自分でもズーズーしい人間だと思う。


でも俺にはわかるんだ!
この映画は、まぎれもなく「愛の結晶」だということが!
俺たちの感想なんて、そんなもん関係ないんだよ!
監督が原作を死ぬほど愛している!
そのことが伝われば、というか俺たちの胸に響くことで、この作品は価値あるものになるんだ!


だからこの作品は、すべての映画ファンが決して避けては通れない道なんだ!
なぜなら、映画ファンの持つ「映画愛」が具現化された、まさに俺たちの映画であるからだ!
マトリックス』の2作目以降のオモシロさが全くわからなかった俺でも、『スピードレーサー』のオモシロさなら一目瞭然だ。


途中で寝てしまった俺が言っても説得力は無いが、とにかく傑作!